リードナーチャリングとは?手法から見込み顧客の獲得方法まで解説!
更新日:2022.07.07 公開日:2022.07.04
マーケティング
リードナーチャリング、いわゆる「リードを育てる」マーケティング手法に、近年注目が集まっています。
意味は知っていても、「リードナーチャリングって具体的には何をするのか」と疑問に思う方は多いかと思います。
本記事では、リードナーチャリングの基本から具体的な手法、さらにはリード(見込み顧客)を獲得してから育成する方法まで丁寧にまとめました。
この記事を通して、みなさんの疑問を解決できれば幸いです。
目次
リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を有効的にアプローチし、信頼関係を築きながら購買欲求を高め、今後の受注へとつなぎ合わせるマーケティングの手法です。
一般的なマーケティングの流れは、リードジェネレーションとリードクオリフィケーションの間の工程に、このリードナーチャリングが存在します。
まずは、リードナーチャリングとの関連が深い「リードジェネレーション」「リードオークション」と合わせて、リードナーチャリングについて説明していきます。
リードジェネレーション
リードジェネレーション(Lead Generation)は、リード、いわゆる見込み顧客を獲得するための活動です。
リードジェネレーションのアプローチ方法は、オフライン・オンラインの2つに分けられます。
施策(アプローチ方法) | |
---|---|
オフライン | 展示会、セミナー、アンケート、名刺交換 |
オンライン |
ホワイトペーパーのダウンロード、資料請求 |
このようなモーションを試みることによって、リード情報を獲得していきます。
新型コロナウイルスの影響もあり、近年では多くの企業が、オンラインでのアプローチを行っています。
リードを獲得するために、いかにユーザーの視点に立って自社の商品・サービスに興味・関心をもってもらえるかを考えることが重要です。
リードナーチャリング
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、リードを育成するための活動を指します。
リードジェネレーションによって手に入れた見込み顧客を、何度かアプローチを重ねて徐々に購入意欲を高め、自社の顧客へと育て上げます。
リードの状況や行動に合わせて、適切なタイミングで最適なコンタクトを取る必要があります。
例えば、BtoBマーケティングにおいては、ユーザーの商品・サービスの購入までに至る検討期間が長きに渡ります。
このようなユーザーの温度感を見極め、適切なタイミングで必要な情報を提供することで信頼関係を築いていくことが、リードナーチャリングの役目なのです。
また、見込み顧客は今は商品・サービスは必要がないと思っていても、潜在的なニーズを秘めている可能性があります。
潜在ニーズを持つリードには、こんな悩みはないかなどとアプローチし、ニーズを具現化することも大切です。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーション(Lead qualification )とは、リードを選別することをいいます。リードナーチャリングを通して育てているリードを、資料のダウンロードやメール開封などの行動に合わせてカテゴライズし、購入意欲の高いリード・低いリードに分類しアプローチの仕方をそれぞれ変えるというやり方です。
購買意欲が高いリードを優先的に対応したほうが受注獲得につながりやすいため、営業の生産性、さらに業務の効率化にもつながるでしょう。
リードナーチャリングが注目される背景
近年注目が高まっているマーケティング手法の一つとしてリードナーチャリングがありますが、なぜ注目されるのか、ここではその背景を説明します。
インターネット普及に伴う購買プロセスの複雑化・長期化
近年は、インターネットでの情報収集が当たり前になってきており、ユーザーが商品・サービスを購入するまでの過程が複雑かつ長期的なものになっています。
以前は、商品・サービスを購入するとき、営業担当や店員などオフラインでのやり取りから大部分の情報を得て、購入に至っていました。
しかし、インターネットを通して情報を簡単に収集・比較検討できるようになったため、ユーザーは自ら複数の商品・サービスを比較検討して、条件に合う企業を選定することが多くなりました。
検索・比較・検討といった行動が加わったことにより、ユーザーの購買における過程はさらに複雑かつ長期化しているのです。
そのため、商品・サービスを提供する企業は、たとえ購買欲求が低く長期的なアプローチが必要になる顧客であっても、アプローチ・コミュニケーションをとり続け、他社に奪われないようにすることが非常に重要です。
休眠顧客の増加
休眠顧客とは、一度は商品・サービスを購入してくれたものの、その後は一定以上のやりとりがない顧客のことです。特にBtoBビジネスでは休眠顧客が多い傾向があります。
BtoBビジネスでは、BtoCビジネスに比べて一回あたりの取引金額が高かったり、次の商品・サービスが必要になるまでの期間が長いため検討期間が長くなります。
このような顧客に対して、継続的なアプローチを行わずにほったらかしにすると、休眠顧客が増えていくのです。
ですが、休眠顧客は商品・サービスに対しての理解は持っているため、的確にコンタクトを取ることで優良顧客になる可能性は極めて高いです。リードナーチャリングで、休眠顧客とも持続的にコンタクトを取り続けることが大切です。
営業アプローチを嫌がる
インターネット経由で獲得したリードには、興味・関心の薄い見込み顧客も多く潜在しています。
その中で、獲得したすべてのリードに対して同じようにアプローチを行うのは、コスパのよい方法ではありません。
購買欲求の低いリードに対して、積極的にメールや電話で営業を行うのは、押し売りされているという悪いイメージを与えてしまう可能性もあります。
一方で、購買欲求の高い見込み顧客は、積極的にメールや電話などを行った方が印象もよく好まれます。
見込み顧客の状況を見極めて、ベストなタイミングでアプローチをかけることで、営業活動の効率を格段に高めることができます。
リードナーチャリングのメリット
リードナーチャリングを行うことによってどんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは代表的なメリットをいくつか紹介していきます。
見込み顧客損失を制御できる
購買意欲の高い優良顧客ばかりに注力しすぎて、休眠顧客や受注確度の低い見込み顧客は放置してしまうこともあるでしょう。
しかし、このような顧客を放置することで、その多くが競合他社に取られてしまう可能性があります。市場の変化や見込み顧客自体の変化により、再び自社の商品・サービスに興味を持ってくれるかもしれません。
そういった顧客にリードナーチャリングを継続して関係を維持し続けることで、顧客損失を防ぐことができます。
営業活動の効率化・短縮化につながる
一般的な営業活動は、見込み顧客のリストをもとにテレアポ・訪問などを繰り返し、何度も商談を重ねることで受注を勝ち取っていました。
しかし、リードナーチャリングを行うことで、受注確度の高い顧客のみを選定したリストを営業に引き継ぐことができます。
営業担当者は引き継がれた顧客リストから、購入意欲や自社への好感度などを細かく把握し、受注確度の高い顧客から優先的にコンタクトを取れるため、営業効率はもとより、営業活動の短縮化にもつなげることができるのです。
顧客データを有効活用できる
先ほどもお伝えしましたが、一度は商品・サービスを購入してくれたものの、その後は一定以上のやりとりがない顧客のことを休眠顧客といいます。
この休眠顧客の情報も、大切な顧客情報です。
休眠顧客は、一度は商品・サービスに興味を持ってくれているため、既存顧客の中でも優良顧客になりえる可能性が高いです。
リードナーチャリングを行い、休眠顧客や既存顧客に適度なアプローチをし続け、関係性を構築すれば、長期にわたり安定した利益を生み出すことができます。
リードナーチャリングのデメリット
リードナーチャリングを行う上で、デメリットになることもあります。
あらかじめ把握し、理解しておきましょう。
すぐには結果がでない
リードナーチャリングでアプローチを行う見込み顧客の中には、自社の商品・サービスに関心を持ち始めたばかりの人が多いです。
そういった見込み顧客に適切にアプローチし、受注獲得ができるまで顧客と接点を持ち続け、育てていく必要があります。
リードナーチャリングは取り組んですぐに結果がでるようなものではないので、根気強く粘りましょう。
導入には手間がかかる
リードナーチャリングは、見込み顧客の情報、マーケティング活動の記録など多くの情報を管理・整理しながら継続的にアプローチを行う必要があります。そのため、かなりの工数や労力が必要になるのです。
MAやSFAといった必要な作業を自動化できるツールを取り入れることで、効率良くリードナーチャリングを行えるようになります。
ツールを導入する場合には、自社に必要な機能や効果などをよく調べて検討するのがポイントです。
集客をしていることが前提
リードナーチャリングは事前に集客をきちんと行っていることが前提です。
見込み顧客を育成しようとしても、十分な数の質の高い顧客を保有していないと、見込み顧客の獲得から行わなければならず、手間がかかる上に成果が得られません。
見込み顧客の獲得をしっかり行っていない場合には、リードナーチャリングを行う前にリード獲得(リードジェネレーション)から行い、まずリード育成までのフローを見直すことが大切です。
具体的なリードナーチャリングの手法
さまざまな効果があるリードナーチャリングですが、その効果を存分に発揮するためには、リードナーチャリングの手法を知った上で、適切に実施する必要があります。
ここでは、代表的なリードナーチャリングの手法についてそれぞれ解説します。
1.メール配信
メール配信は、以前から多くの企業に利用されていますが、メールアドレスを取得していれば簡単に行うことができるため、リードナーチャリングの手法としては外すことができません。メール配信は大きく二つに分類されます。
<ステップメール>
無料会員登録や資料請求など、決まったアクションを実行した顧客に配信するメールをステップメールといいます。たとえ一斉メールであっても、ユーザーは企業が自分のことを理解してくれていると感じ、企業に対しての好感度が上がります。
<セグメントメール>
年齢・性別・住所・訪問ページなどで顧客の属性をセグメント化し、対象となるターゲットのみに配信するメールのことを、セグメントメールといいます。
顧客の属性に応じて、メッセージやキャンペーンの案内の内容を変え、配信します。
2.オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社で発行するパンフレットやカタログ、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど自社で保有するメディアのことを指します。
オウンドメディアで顧客のためになる情報を発信することで、会社の認知度拡大や信頼度の向上につながります。
また、オウンドメディアで掲載する記事は、SEOを考えることによって新規顧客を得ることにもつながります。
しっかりと質の良い情報を継続的に配信していくことが大切です。
3.SNS
近年では、スマートフォンが普及したことでSNSを多くの人が活用しています。
SNSはリードジェネレーションに効果があると思われがちですが、実はリードナーチャリングにも効果があるのです。
SNSで企業アカウントを作成し、ユーザーに対して価値のある情報を発信したり目を引く投稿で自社のファンを増やしたりできます。
SNSは見込み顧客とつながる上でもっともハードルが低く、他のユーザーに対しても拡散力があるので、おすすめです。
Twitter・Instagram・FacebookなどSNSによって特徴が異なるため、自社のターゲット層に合ったSNSを選ぶようにしましょう。
4.セミナー
セミナーを使ったリードナーチャリングも、かなり多くの企業が取り入れている手法です。
セミナーはオフライン・オンラインどちらもあるため、さまざまな顧客にアプローチできます。
また、オウンドメディアやSNSとは違い、対面でのコミュニケーションに特化しているため、対面ならではの良さを発揮できます。参加するユーザーはある程度興味を持っている人が多いので、他の手法よりもかなり効率が良いです。
メールやSNS、オウンドメディアとも組み合わせることで、より効果的に実行ができます。
5.インサイドセールス
リードナーチャリングにおいて、インサイドセールスは非常に重要です。
インサイドセールスとは、直接顧客のもとへは行かず、見込み顧客に対して電話やメール・ツールなどを活用しながら営業をかけるという、マーケティングと営業の間をつなぐ施策として、近年注目を集めています。
また、インサイドセールスはテレアポとは違い、見込み顧客を契約が成立する見込みがつくまで育て、質の良いリードを増やすという目的があります。
新規リードの獲得だけでなく、休眠顧客や保留中の見込み顧客にアプローチを行うことでリードの掘り起こしも行います。
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見込み顧客を獲得・育成するためには
リードナーチャリングの効果を得るためには、適切なプロセスで進めることが大切です。
ここでは、リードナーチャリングを成功させるためのプロセスを確認しましょう。
1.リードジェネレーションを行う
まずは見込み顧客を集めるために、リードジェネレーションを行いましょう。
リードジェネレーションに関しては、先ほどお伝えしましたが、近年新型コロナウイルスの影響もあり、ユーザーへのアプローチはオンラインが増えています。
例としては、自社でホワイトペーパーを作成してダウンロードまでつなげ、資料と引き換えに顧客情報をゲットするといった方法があります。
いきなり商品・サービスへのお問い合わせを獲得しようとするのではなく、自社のノウハウやお役立ち資料を提供するという意識が大切です。
ユーザーの視点に立ってニーズを考えながら、まずは自社の顧客になるかもしれない個人両方をいかに多く集めるかを考えましょう。
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2.集めたリードの情報を一元化する
まずは自社が保有するすべての顧客データを集め、その情報を一元化することが大切です。
セミナー開催や訪問先で集めた名刺、オウンドメディアやSNSで集めたユーザーの企業名など、さまざまなアプローチ方法から獲得した顧客情報が、異なる形で存在しています。
企業によって顧客情報の管理の仕方はさまざまでしょう。
営業が個人で管理していたり、部署ごとに管理していることもあるかもしれません。
まずは、顧客のすべての情報を集めて、一元化しましょう。
3.リードのセグメンテーション
次に、一元化した顧客データをセグメント(分類)します。
顧客の職種や職位、過去の取引実績などでセグメントすることで、一人ひとりの状態を把握することができます。
また、セグメントメールを送ることで顧客のニーズも明確になり、商談や受注確度の向上につながります。
4.顧客の購買プロセスステージを細分化する
セグメント化した顧客データを購買プロセスに応じてステージ化します。
ステージを分けることで、各ステージの顧客に対して的確なアプローチをすることが可能です。
顧客ステージの分類は、消費者の購買行動プロセスモデルを参考にします。
消費者行動プロセスモデル | |
---|---|
AIDMA | Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動) |
AISAS | Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有) |
DECAX | Discovery(発見)→Engage(関係構築)→Check(確認)→Action(行動)→ eXperience(体験) |
TPCM | Target(ターゲット)→Perception(印象)→Contents(コンテンツ)→Means(手段) |
いくつかのプロセスモデルが存在しますが、これらはあくまで参考であり、企業によって異なる購入プロセスが起こるため、フレームワークに当てはまらない場合もあるでしょう。
これらのモデルはステージを分ける際の基本として参考にはしつつ、自社に合ったプロセスを明確にしましょう。
5.MAツールを利用する
MAとはMarketing Automation(マーケティングオートメーション)の略で、マーケティング活動の自動化・効率化を実現するためのツールのことを指します。
リードナーチャリングでは、MAツールを使うことでより効率的に行うことができ、業務効率と生産性の向上につながります。
- 見込み顧客の一元管理
- メールでの見込み顧客との継続的なコミュニケーション
- 良質顧客のリスト化
- 顧客のスコアリング
- 問い合わせフォームランディングページの作成
- 顧客のオンライン行動の可視化
上記の他も色々な機能が備わっており、リードナーチャリングを行う上で、MAツールを導入するかしないかでは、業務効率に大きく影響します。
また、MAツールはさきほど紹介したリードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションの3つの施策を効率的に行える機能も備わっており、マーケティング活動においてとても欠かせないツールです。
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まとめ
リードナーチャリングについてご理解いただけましたでしょうか。
リードナーチャリングを行うことで営業活動の効率化や短縮化につながるだけでなく、見込み顧客損失を防ぐことができます。
しかし、リードナーチャリングのすべてを手作業で行うのは、とても非効率的です。
MAツールを活用することで、より効率的にリードナーチャリングを行うことが出来ます。
見込み顧客のスコアリングを図ったり、メールでの適切なアプローチを行い、サービス・商品の受注につながる関係を確実に築いていきましょう。
ウェブサークルではリード獲得からリードの育成まで幅広くサポートしています。
ご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。