「気になる商品を見つけたら、まず検索して口コミをチェックする」—そんな行動をとることはありませんか？ 最近では、広告を見てすぐに購入を決めるのではなく、インターネットやSNSを活用し慎重に選ぶ人が増えています。
情報を調べて納得してから購入し、さらにその体験をシェアするという消費者行動を表したのが、AISAS（アイサス）モデルです。AISASモデルは、デジタルマーケティングやSNS戦略を考えるうえで重視されています。
この記事では、AISASモデルの概要や特徴、活用方法をわかりやすく解説します。消費者の購買行動に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
AISASとは｜消費者の購買行動モデル
AISAS（アイサス）モデルは、消費者の購買行動を説明するフレームワークの一つで、特にインターネット時代のマーケティングに適しています。消費者の行動は、以下の5つのステップで構成されます。
・Attention（注意）：商品やサービスの存在を知る
・Interest（関心）：興味を持ち、詳しく知りたくなる
・Search（検索）：インターネットで情報を調べる
・Action（行動）：購入や申し込みを行う
・Share（共有）：購入後に感想をSNSや口コミで発信する
AISASモデルの最大の特徴は、「Search（検索）」と「Share（共有）」のプロセスを重視している点です。消費者は、商品を認知した後に自ら検索し、比較やレビューを確認してから購入を決めます。さらに、購入後にはSNSや口コミサイトを通じて情報を発信し、他の消費者の購買行動にも影響を与えます。
企業は、検索されやすい情報を提供することや、消費者がシェアしたくなる仕掛けを作ることで、購買プロセスを効果的にサポートできるのです。
AIDMAとの違い
AIDMA（アイドマ）モデルは、かつて広く使われていた消費者行動のフレームワークです。
このモデルでは、「Attention（注意）→ Interest（関心）→ Desire（欲求）→ Memory（記憶）→ Action（行動）」の流れで購買が決定すると考えられていました。特に、テレビCMや雑誌広告が中心だった時代には、このプロセスが有効とされていました。
しかし、インターネットの普及により消費者の行動は変化しました。広告を見た後、すぐに購入するのではなく、検索（Search）して情報を集め、購入後にはSNSで共有（Share）する流れが一般的になっています。これを反映したのがAISAS（アイサス）モデルです。AIDMAに「Search」と「Share」が加わることで、現代のデジタルマーケティングに適したフレームワークとなっているのです。
AISASでは「消費者が主体的に情報を探し、購入後に発信する」ことが重要視されており、企業側はこの行動を前提にした戦略を考える必要があります。検索エンジン対策（SEO）やSNS施策を強化することで、消費者の購買行動により自然に組み込まれる仕組みを作ることが重要なのです。
AISASモデルのメリット
AISASモデルを活用するメリットは以下の２つです。
・消費者の行動が分かりやすい
・口コミやSNSの力を活用できる
それぞれ解説します。
消費者の行動が分かりやすい
AISASモデルを使うと、消費者がどのように商品やサービスを知り、購入に至るのかが明確になります。特に「検索（Search）」と「共有（Share）」のプロセスを分析することで、どの情報が購買につながりやすいのかを把握できます。
例えば、検索されやすいキーワードを意識すれば、より多くの人に情報を届けることができ、SEO対策にもつながります。また、消費者がどのタイミングで興味を持ち、行動を起こすのかが分かるため、適切な広告戦略を立てやすくなるでしょう。
SNSや口コミサイトでの評価を分析することで、ユーザーが重視しているポイントを把握し、より効果的な商品・サービスの改善も可能になります。
口コミやSNSの力を活用できる
AISASモデルの大きなメリットの一つは、「Share（共有）」を通じて口コミやSNSの影響力を最大限に活用できることです。消費者が自ら情報を発信することで、企業が広告費をかけなくても商品やサービスが自然に広まる可能性があります。
特に、InstagramやX（旧Twitter）、TikTokなどのSNSでは、話題性のある商品が短期間で一気に拡散されることも珍しくありません。そのため、企業はユーザーが思わずシェアしたくなるような仕掛けを用意することが重要です。
例えば、フォロー＆リツイートキャンペーンを実施したり、インフルエンサーとコラボして商品の魅力を発信してもらうことで、ブランドの認知度を効率的に高めることができます。
また、良い口コミが増えることで、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の満足度向上やリピーターの増加にもつながります。SNSの拡散力を味方につけることで、より効果的なマーケティング戦略を展開できるでしょう。
【成功事例】AISASモデルの具体例
AISASモデルを活用した成功事例を、２つ紹介します。
・フィットネス業界のマーケティング戦略
・カフェチェーンのマーケティング戦略
それぞれ解説します。
フィットネス業界のマーケティング戦略
あるフィットネスブランドは、AISASモデルを活用し、効果的なマーケティング戦略を展開しています。
まず、テレビCMやSNS広告を活用して消費者の「Attention（注意）」を引きつけ、劇的なビフォーアフターの映像を通じて「Interest（関心）」を高めます。その後、公式サイトや口コミサイトでの情報収集を促し、ユーザーの「Search（検索）」の流れに進めます。最終的に、無料体験や初回割引を提供することで「Action（行動）」を促し、実際の利用へとつなげる戦略です。
また、利用者の成功体験がSNS上で「Share（共有）」されることで、新たな見込み顧客を獲得し、ブランドの認知度を拡大する好循環が生まれています。
カフェチェーンのマーケティング戦略
あるカフェブランドは、AISASモデルを活用し、SNSを中心とした情報拡散を積極的に行っています。
新作ドリンクや限定メニューを発表する際には、公式アカウントが魅力的な写真や動画を投稿し、消費者の「Attention（注意）」と「Interest（関心）」を引きつけます。その結果、多くのユーザーが「どんな味なのか？」と興味を持ち、公式サイトやレビューサイトで「Search（検索）」を行うようになるのです。
実際に購入した消費者は、その体験を写真やコメントとともにSNSに投稿し、「Share（共有）」の効果でさらなる拡散が生まれます。この口コミの広がりによって、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの増加にもつながる好循環を生み出しています。
AISASモデル｜マーケティング戦略への活用方法
AISASモデルを効果的に活用するには、各ステップに適した施策を設計することが重要です。
例えば、「Attention（注意）」を引くためには、インフルエンサーを起用したプロモーションや魅力的な広告を活用すると良いでしょう。
「Search（検索）」の段階では、消費者が求める情報を的確に提供できるよう、SEO対策を強化したり、比較記事や口コミを充実させることが有効です。
さらに、「Share（共有）」を促すためには、ユーザーが自然に投稿したくなるキャンペーンや、SNSでのシェア特典を用意するのが効果的です。
こうした施策を組み合わせることで、AISASモデルの強みを最大限に活かすことができます。
AISASモデルの限界と注意点
AISASモデルはデジタルマーケティングに適したフレームワークですが、すべての業界で効果を発揮するわけではありません。
例えば、BtoBビジネスや高額な商品・サービスの場合、消費者は購入を慎重に検討するため、すぐに行動に移りにくい傾向があります。そのため、AISASの「Search（検索）」段階で、専門性の高い情報提供や比較資料の充実が求められます。
また、「Share（共有）」の要素にも注意が必要です。SNSや口コミの拡散力は大きなメリットですが、ネガティブな評価が広がるリスクもあります。そのため、企業はブランド管理や顧客対応を徹底し、信頼を築く施策を併せて行うことが重要です。
【紹介】最新の購買行動モデル
最新の購買行動モデルを２つ紹介します。
・進化したAISAS｜Dual AISASモデル
・SNS時代に最適｜SIPSモデル
それぞれ解説します。
進化したAISASモデル｜Dual AISASモデル
近年、AISASモデルをさらに発展させた「Dual AISAS」という概念が登場しています。
このモデルでは、消費者の購買行動を「認知・興味段階」と「購入後のエンゲージメント段階」の２つに分け、特に「Share（共有）」の影響力を強化することが特徴です。
従来のAISASでは、購買後の行動は主に口コミやレビューに限られていましたが、Dual AISASでは、購入後のファンコミュニティの形成やリピート購入を促す仕組みが重視されます。
企業は、この進化したモデルを活用し、商品やサービスの魅力を長期的に伝える施策を検討することで、より強固な顧客基盤を築くことが可能になります。
SNS時代に最適｜SIPSモデル
AISASモデル以外にも、近年では消費者の購買行動を説明するさまざまなフレームワークが登場しています。その一つが、「SIPS（Sympathize、Identify、Participate、Share）」モデルです。
SIPSは特にSNS時代に適しており、消費者がブランドや商品に「共感（Sympathize）」し、「自分ごと化（Identify）」した後、「参加（Participate）」し、最終的にSNSなどで「共有（Share）」する流れを重視しています。
特に若年層をターゲットにしたマーケティングでは、共感を生み出し、ユーザーが自発的に情報を拡散する仕掛けが求められます。
企業は、自社のターゲットや商品特性に応じて、AISASだけでなく、最適な購買行動モデルを選択し、効果的なマーケティング戦略を立てることが重要です。
まとめ
AISASモデルは、現代の消費者行動を理解し、効果的なマーケティングを展開する上で欠かせないフレームワークです。
特に、「Search（検索）」と「Share（共有）」のプロセスが組み込まれていることで、消費者が自ら情報を探し、購入後に発信する流れを捉えやすくなります。企業が成功するためには、SEO対策やSNSマーケティングを強化し、消費者の検索行動や口コミを活かす施策を取り入れることが重要です。
また、AISASモデルを活用することで、消費者の購買プロセスを可視化し、各段階に適したアプローチが可能になります。特に、検索時に適切な情報を提供し、購入後のシェアを促進する施策を行うことで、ブランドの認知度や売上向上につながります。
デジタルマーケティングは日々進化しており、新たな購買行動モデルも登場しています。企業はAISASの基本を押さえつつ、最新のマーケティングトレンドをキャッチアップし、柔軟に戦略をアップデートしていくことが重要です。
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