Z世代マーケティングとは?Z世代のマーケターが徹底解説
更新日:2022.02.10 公開日:2022.02.10
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昨今、マーケティングに限らず様々な文脈で「Z世代」という単語を聴くようになりました。Z世代の定義は1996年~2012年に生まれた世代であり、生まれたときから家庭にインターネットが接続されていた点が特徴です。
現代社会における人口構成は、2022年現在で60~70代に当たるベビーブーム世代、50代に当たるX世代、PCやインターネットの普及と共に成長したY世代を中心に構成されており、Z世代は15~30代に差し掛かった世代と言えます。
人口動態的に見てもZ世代は今後20年間に渡り消費と生産の中心であり、インターネットを武器に既に史上最大の影響力を持っております。
それ故に多くの企業がZ世代の心を掴もうと思考錯誤しており、数々の「Z世代マーケティング・フレームワーク」が生まれています。その一方でZ世代の生の声を、実際のビジネスに反映することに成功している企業はごく少数です。
今回は「最初の携帯電話がスマートフォンだった」正にZ世代生まれのマーケターが、その視点から「Z世代はこれまでの世代とどう異なるか?」「何がZ世代の心を掴むのか?」を解説していきます。
目次
Z世代の特徴
デジタル・ネイティブ
Z世代の最大の特徴とも言えるのが、「産まれたときからインターネットが当たり前だった」という点です。
例えば小学校の先生からは「分からないことがあったらパソコンやスマートフォンで調べること」と言われるなど、インターネットでの検索やタイピングなどは字が読めるようになるのと同時に習慣化されております。
そんなZ世代が最初に手にする携帯電話はスマートフォンです。ほぼ全ての中学生がスマートフォンを手にしており、Twitter、LINE、Instagram、TicTok、YouTube等のSNSを常時意識しています。
実際、10代、20代の一日のスクリーンタイムは、
10代:4時間58分
20代:5時間25分
となっており、その内容は「YouTube」「LINE」「Instagram」「Twitter」「Safari」でほとんどが構成されています。
つまり一日の起床時間の内およそ3分の1をSNSやインターネット検索によって情報収集に当てており、日々多大な情報を蓄積していると言えます。
「分からないことがあれば考える前にまず調べる」がZ世代の常識であり、当然ながら商品やサービスの購買意思決定においても、様々な情報を比較した上で行っています。
ゆえに、Z世代は「既に賢い消費者である」と考えた方が無難でしょう。
「ググるではなくタグる」
「分からないことがあれば検索する」というのはZ世代に限らず理解できることかと思います。Z世代の行動は「検索」だけにとどまりません。なぜなら、
Z世代はもはやGoogle/Yahoo!検索には頼っていないからです。
Z世代が購買のために情報収集するものと言えばでしょうか?
ファッション、美容、カフェやレストラン、スポーツ、食品・飲料、インテリア、旅行といった娯楽消費に加え、PCやスマートフォンなど複雑な情報収集が必要なものが当たります。
まず娯楽消費に関して言えば、消費者は「どう見えるか」「どんな体験か」「どのような評価か」を気にします。となれば画像や動画による情報が豊富にあるInstagramを「タグ」で検索するのが最も早い。またZ世代はインターネット検索で記事を読んだり企業の広告を見るより、「SNSに投稿されている生の口コミ」を信用しています。よってインターネット検索よりも先にInstagramやTwitterで他のユーザーが提供している詳細な情報を優先的に探すようになります。
またPCやスマートフォンなど複雑な購買意思決定を要する場合にも、まず口コミを参考にします。となればホームページのみならず、SNSにおける情報は購買に大きな影響を与えることになると言えます。
「ターゲティング広告は当たり前」
前述にもある通り、現代でSNSを使用していないZ世代はほとんど皆無と言ってもいいでしょう。またSNSはそれぞれ用途が異なるため、複数のSNSを利用しているのが基本です。
つまりZ世代は、各SNSに対して大量の情報を提供しているため、Z世代が日々目にする広告はほぼ全てがターゲティング広告です。つまり「ターゲティングされた広告の中で更なる競争が起きている」というのが現実です。当然ながら自分に関係のない広告の出る幕はないでしょう。
Z世代はそもそも求めているものが異なる
SNSの登場によって変わった点は、消費者との接触の在り方だけではありません。Z世代の消費者は、そもそも求めているものが他の世代と異なっています。
求めているものを説明する上では、良く知られたマズローの欲求階層説を用いるのが分かりやすいです。
欲求階層説では「生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求」というように、低次元の欲求から高次元の欲求に上っていく過程を説明しています。社会・生活インフラの充実した日本では中位から上位の欲求階層に位置する個人が多いと言えます。
特に中高生以上で高まると言われるのが「承認欲求」ですが、これまでの世代とZ世代では「承認のされ方」が根本的に異なっています。
この背景には、「視認性」の変化が考えられます。
SNSが普及する以前であれば、どのように自身の社会階層や生活をアピールすることが出来ただろう?離れた場所にいる相手には大した情報を与えることは出来なかったので、「高級車」「ブランド衣服」など、対面において視認性のある要素が「承認を得る」上でのカギとなっていた。
一方でZ世代は、Twitterで「自分の考え」を、Instagramで「自分の日常生活」や「体験(コト)」を、あるいは「自分の学歴や資格、受賞歴」を発信すれば、「ビューワーからのリアクション」という形で容易に承認を得ることが出来ます。これを「個性を発信する」とか色々な言い方で我々Z世代は表現しますが、つまりわざわざ外に出ないと視認されないような高級車やブランド衣服を買って使用する必要性は薄まっています。
Z世代は、生まれ、そして公の場に晒されたときから「インターネットを介して他者から認められること=承認」という感覚を自然に持っています。それ以上の世代の人々にとって最も理解が難しいのはこの点かもしれません。
「モノよりもコト、コトよりも、、、、?」
「承認のされ方が変わった」という点とも通じますが、視認性の変化によって「コト消費」はSNSで視認性を帯びるようになりました。
それによってコト消費の持つ意味が変化しています。例えばディズニーランドに行ったと言う「コト」は、自分が青春を謳歌している「側」の人間だ、といったようなイメージをSNSを見ているフォロワーに与えられます。
更に「コト消費」の流れも変わってきています。ますますSNSを通じて自分の考えを発信するのが当たり前になるに連れて、「発信者である自分の情報の信ぴょう性」が問われるようになりました。そこで「学歴や資格」「受賞歴」「他者と違う特徴」といった情報でシグナリングを狙う様になり、一層コトよりも何か自分のアイデンティティにとって意味ある「何か」を求めるようになっています。「Z世代は本質的なものを求めている世代だ」とも言われている。
マネーリテラシーの異例な高さ
Z世代を特徴付ける要因は、実はインターネットだけではないです。決定的なのは、Z世代は生まれてから現在まで、「失われた30年」に生き続け、その後もリーマンショック、コロナ禍といった不況下の生活を当たり前だと思って生きています。
そのためか一際生活や将来への不安が強く、「カネ」に対する意識は相当に高いといえます。
電通マクロミルの調査では、投資や資産運用に対するリテラシーが30代~
40代よりも高く、資産運用に対する関心も高いことが分かっています。
また現在28歳に満たないZ世代において、老後資金の貯蓄を始めている割合は既に12%を超えており、また70%は手許に余裕が生まれれば最優先で老後資金の貯蓄を始めるべきだと考えています。
「コストパフォーマンスをやたらと重視する世代」と言われている背景には、無駄な消費をしないという価値観がZ世代において広く定着しているからです。
Z世代に対するマーケティング
Z世代にとって、購買に必要な情報収集をすることなどが簡単です。そのためZ世代の求める価値は極めて高度化していると言えます。「これくらいなら満足するだろう」という発想でプロダクトを投下すると、素早い代替案評価やSNSにおける使用後フィードバックの拡散によって、すぐに弱点を見抜かれてしまいます。一方で使用感が良ければ良い点も拡散しやすいため、この環境は追い風ともなります。
つまり品質で競争する場合、少々オーバースペックとも言えるくらいには競合製品よりも差別化されている必要があります。そうでなければ価格競争になり、「コスパが強みの」ブランドとして認知されると考えられます。
しかしZ世代が品質ばかりを見ているかと言われればそうではありません。むしろ私自身Z世代の消費者として常々感じることですが、Z世代は本質的な価値を求めようとしている一方、「これは本質的か」という問いへの判断基準はブランド・イメージに依存しています。
Z世代の消費者はSNSやその他の情報源を通じて、日々ブランド・イメージを醸成している。ブランド・イメージを築くことで情緒的価値による訴求が可能になり、またZ世代の消費者はデジタル媒体による発信へのリアクションが良いです。
一方、旧時代的と思われる媒体を選択すると「先進性がない」と思われブランド・イメージを損なう恐れは高いです。Z世代は基本的に古いやり方を嫌います。
これらより、Z世代に対するマーケティング施策として、全般的にはWebマーケティングを、また中でもSNSを避けることは出来ないと言えます。
まとめ
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