DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や重要性を解説

更新日:2022.08.02 公開日:2022.07.25

マーケティング

今、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが、さまざまな業種や分野で推奨されています。

よく、IT化やAIやIOTを導入することだと思っている人が多いですが、DXとIT活用またはIT化とは、大きく意味合いが変わります。

こちらの記事では、DXの基礎知識や重要性、DXに取り組むうえで覚えておきたい課題について説明します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「Digital Transformation」の略語であり、直訳すると「デジタルによる変容」という意味となります。

 

簡単にいうと、デジタル技術を役立てることで、生活や仕事が変わっていくことをDXと言います。

 

デジタル技術を役立てて、企業が業務効率化や新しい経営方針・経営法をつくり出すことを実現させることがDXのポイントです。

 

きちんとDXを理解していなければ、方向性がずれてしまうので注意が必要です。

 

DXにより過去のノウハウや仕組みで構築されているシステム(レガシーシステム)を捨て去り、企業の経営方針・経営法を変えることは、全ての企業が変化の激しい時代のなかで市場における競争優位性を保ち続けるための大切なテーマとなっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

デジタルトランスフォーメーション

DX(デジタルトランスフォーメーション)は「ICT(情報通信技術)の一般化が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義されており、スウェーデンのエリック・ストルターマン大学教授が2004年に提唱した概念です。

 

元々、DXは企業の事業領域に限定した言葉ではなく、人々の生活をより良いものへと変えるためデジタル技術を社会に浸透させることを指す、より広義な意味を表す言葉です。

デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション

2010年からDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は、ビジネスに限定した文脈でも使われるようになり、今ではビジネス用語として定着しつつあります。

 

デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションでは、「デジタル・ビジネスモデルとデジタル技術を使って組織を変化させ、業績をより望ましいものへ改めること」と定義しています。

 

ビジネス用語としての定義や解釈は、人や状況によって様々ですが、

「既にある価値観や枠組みを土台からひっくり返すような、これまでにないイノベーションをもたらすもの」

という定義で使われることが一般的です。

 

エリック・ストルターマン氏が提唱しているデジタルトランスフォーメーションと区別するために、デジタル「ビジネス」トランスフォーメーションといいます。

2018年に経済産業省が公表した定義

エリック・ストルターマン教授が提唱した概念を、日本企業向けに理解しやすく定義したものが「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」です。

 

このDX推進ガイドラインで提唱されている定義は

 

「企業が変化の激しいビジネス環境に対応し、データとデジタル技術を十分に生かして、

顧客や社会のニーズを土台として、製品やサービス、経営方針・経営法を変えあらため、

業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 

つまり、デジタル技術を使うことによって、企業の経営方針・経営法を変えあらため、自社の競争力を高めていくということです。

DXへの取り組みが必要な理由

デジタル化によるビジネスの多様化

AI技術が実務レベルにまで進化したり、IoTによって遠隔操作・情報収集が行えたりと、目を見張る速度でデジタル技術が発展しています。

 

様々な産業で新規参入の企業が登場し、これまでにない経営方針・経営法や製品、サービスが生まれています。

 

デジタル技術の発展は仕事の多様化をもたらします。

 

仕事の多様化に対応するためには会社としての課題を分析・改善し、より高い次元へのステップアップが求められています。

 

そのためには、経営そのものを変革する DX の推進が不可欠だと考えられています。

消費者のマインド変化

日々消費者行動は変化しており、近年では製品を購入して所有する「モノ消費」から、体験を重視する「コト消費」へと変化しています。

 

つまり、製品を買って所有する従来の購買スタイルから、楽しい体験で得られる満足感や生活の質向上を重視するスタイルに変わってきているということです。

 

こうした消費者マインドの変化に伴い、企業側は、時代に適した価値あるコトや体験を提供する経営方針・経営法への変革が求められています。

 

しかし、消費者のニーズや購買行動の変化などを敏感に察知するには従来の方法では不充分です。

 

企業に蓄積したデータとデジタル技術を役立て、DX化を加速させる必要があるため、DX化の重要性は高まっています。

DXがビジネスに求められる理由と日本企業の課題

テクノロジー「だけ」では優位性につながらない

DXの意義は、デジタルを用いて競争する上での優位性を確率することにあります。

 

業務をただデジタル化すれば良いというものではなく、DXを通してどのようにビジネスを変えあらためていくのかというビジョンが重要です。

 

ただテクノロジーを導入するだけでは優位性につながらないということです。

 

どんなにAIが大量のデータを迅速に処理してくれたとしても、AI自体は革新的なアイデアを持っているわけでも具体的な経営戦略を提案してくれる訳ではありません。

 

つまり、テクノロジーやそれを使える人材がいるだけで、すべてがうまくいくわけではなく、

全社的な経営課題として経営層がテクノロジーによる経営方針・経営法を変えあらためることを考えることが必要不可欠です。

既存システムの老朽化とIT人材の活用

日本企業のDXを阻む問題として、

 

・既存ITシステムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化

・人材不足

 

この2点があげられています。

 

経済産業省により、日本企業でもDXの必要性を認識し、DXを推進する取り組みが進められていますが、

 

約8割の企業が老朽化したシステムを抱えており、そのうちの約7割の企業が老朽化したシステムをDXの足かせと感じています。

 

これは人材不足の問題とも関わっており、IT人材が入ってきたとしても、レガシーシステムの維持管理に充てざるを得ず、高い能力を使いこなかったり、離職してしまうことに繋がります。

 

これらの課題を考えると、日本の企業がDXを進めるためには、既にあるシステムを含めたシステムの再構築と、IT人材の活用ができる環境をいち早く整えられるかが大きなポイントとなってきます。

経済産業省が指摘する「2025年の崖」

「2025年の崖」は、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」と呼ばれる資料の中で初めて使用されました。

 

DXを推進しなければ業務効率・競争力が低下し、日本国内の企業が市場で勝ち抜くためにはDXの推進が必要不可欠であるとしています。

 

DXを進めるための課題を乗り越えることができなければ、企業が世界的規模のデジタル競争に敗北し、システムの維持管理費がさらに高騰し、サイバーセキュリティや事故・災害による損失が発生することで、2025年から年間で現在の約3倍、約12兆円もの経済損失が発生すると予測されており、これを「2025年の崖」と表現しています。

DXの取り組みを進める手順

経営層のコミットメントを確実に得る

DX は個人で進めるものではなく、会社全体で推進するものです。

 

長期的視点で取り組み、デジタルツールの導入など資金が必要となります。

 

経営層がDXの重要性を理解し、現場の協力を要請したり、DXに関する知識・情報を共有したりすることで、

円滑にプロジェクトを進めていくことが出来ます。

 

そのため、経営者や役職者など、然るべき立場の人から賛同を受け、効率的に推進できる環境づくりを行うことが大切です。

DXの目的を明確にする

DXに取り組む目的を明確にしないと、DX推進が行き詰まる原因になります。

 

最終的に何を目指すのかが決まっていないと、デジタルツールを導入したりDX部門を立ち上げたりしても、無駄な手順を踏んでしまったり、成果が得られなかったりする原因となります。

 

DXの目的を明確にすることで方向性を決めることができ、理にかなった手順やツールを選ぶことができます。

 

「なぜDXを行うのか」を深く考え、目的を明確にした上で、逆算してプロジェクトを進行していくことがポイントです。

DXを推進するための体制を作る

DXを推進するための体制づくりは下記の3つあります。

  • IT部門拡張型
  • 事業部門拡張型
  • 専門組織設置型

DX推進の組織体制作りで最も多いと言われているのが「専門組織設置型」です。

しかし、どの方法を選択するのかは、「業種」や「自社ビジネスとITがどのように関連しているか」によって変わってきます。

 

自社に合った組織体制作りをしましょう。

IT部門拡張型 IT部門を機能拡張することで、DXを推進する組織編成
事業部門拡張型 事業部門が主導となりシステム部門がサポートをする立場
専門組織設置型 ITシステム部門や事業部門、外部ベンダーなどを専用部隊として組織化しDX化を促進していく

IT資産などの現状を分析・評価する

下DXを推進するための仕組みができたら、現用システムをチェックして、老朽化・ブラックボックス化したシステムがないかどうかを確認しましょう。

 

システムを確認することによって、既存のIT資産を改修・維持し続けた場合の必要経費の試算をすることができます。

 

DX推進ではデータを横断的に活用する必要もあります。

 

必要であればシステム連携をスムーズにできるように作り替えなければいけないため、「システムを使わない選択をする必要があるか」「システム連携がしやすいかどうか」などの分析をしましょう。

既にある業務をデジタル技術で効率化

まずは身近で不便と感じるものや無駄だと思う工程をデジタル化できないか考えてみましょう。

 

デジタル化の活用をし業務のペーパーレス化など、無駄やムラ、無理をなくすということは非常に効果的です。

 

課題を解決するために既にあるビジネスモデルをベースに、新しいデジタル技術を利用することから始めましょう。

 

最終的には、業務構造全体の見直し、デジタル技術を活用して新たな経営方針・経営法やサービスなどの付加価値を世の中に提供します。

 

これまでの段階としてデジタル化による業務効率化を行うことはとても有効です。

デジタル化で既にある業務を拡張・高度化

従来の組織構造のままではDXの実現が難しい部分が出てくると予想できます。

 

人材の転属など組織を変革することで業務の拡大や高度化を実現することができます。

 

デジタル化に沿ったワークフローの構築を行うことは、DXに取り組むうえで重要であり、業務負担の軽減に繋がります。

まとめ

DXの促進は、業種・業界問わずあらゆる企業が取り組むべき課題です。

 

移り行く時代の流れに取り残されてしまうのか、テクノロジーの進歩とともに新たな時代へと邁進していくのか、多くの企業にとっての分岐点になる取り組みともいえます。

 

DX促進は、自社の経営戦略をしっかりと固め、社内の理解・協力を得たうえで一丸となって取り組んでいくことが大切です。

 

DX促進の一歩として、社内で行われている業務手続きの電子化から取り組んでみてはいかがでしょうか。

             
TANAKA

writer

TANAKA

WEB CIRCLE MEDIAの編集者田中です。主にSEOやコンテンツの記事を投稿しています。

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