CRMとは?導入のメリット、ツールの選び方、運用のコツを解説

更新日:2022.07.05 公開日:2022.06.14

マーケティング

近年話題の「CRM」。
多くの企業が、マーケティングツールの一環としてCRMを取り入れています。

CRM(顧客関係管理)という考え方は90年代後半に生まれたものですが、ビジネス環境が大きく変わりつつある現代社会において、再び注目を集めています。
今まさに、CRMシステムを導入するべくいちから情報を集めている担当者の方が多いのではないでしょうか。

  • 「CRMとはどのようなものなのか」
  • 「CRMを取り入れると具体的にどのようなメリットがあるのか」
  • 「数々のツールの中からどんなものを選べばよいか」
  • 「CRMをどのように運用したらよいか」

などの疑問を抱えている方には、ぜひ読んでいただきたい記事内容になっています。
CRMの基礎知識を詳しく解説し、CRMを導入する際のメリットや運用のコツなどを分かりやすく解説していきますので、ぜひお読みください

CRMとは

CRMとは何かを聞かれて、こういうものですと明確に説明できる方は少ないと思います。

視点や立場によってCRMの指している意味合いが異なっているのが大きな理由です。

あらためて、CRMの定義を考えてみましょう。

 

CRMとはCostomer Relationship Manegement(カスタマー・リレーション・シップ)の略で「顧客関係管理といいます。基本的にCRMを表すものとして以下の2つの意味が存在します。

 

  • 広義のCRM:顧客との良好な関係を構築・維持すること
  • 狭義のCRM:顧客関係管理を行うITツール・システムのこと

 

CRMは顧客との良好な関係を維持する取り組みのことを指す言葉でしたが、現在では狭義のCRMである、顧客関係管理を行うITツール・システムを指すことが多くなりました。

 

広義のCRMを行うためには顧客情報を一から集めて、それぞれの顧客に適切なサービスを提供する必要があります。しかし、企業が拡大すればするほど、顧客がその分増加するため、すべての情報を手作業で管理・分析し、サービスを提供することは難しくなってきます。

 

そんな時に役に立つのが、狭義のCRM「CRMツールなのです。

CRMとSFA・MAの違い

CRMと混同するツールとして「SFA」と「MA」が挙げられます。

特にCRMとSFAは機能が似ており、最近ではCRM/SFAと併記されることも増えてきました。

 

では、それぞれの違いを見ていきましょう。

SFAとは

SFA /Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)とは、営業活動を効率化、つまり営業の生産性を向上させ、改善するツールのことです。日本では営業支援ツールや営業支援システムと呼ばれます。

 

営業活動における進捗状況や営業活動が管理する情報全般をデータ化して蓄積・分析することができます。記録した情報は他のメンバーとリアルタイムで共有したり、外出先から取引先の情報を確認・入力もできます。

MAとは

MA /Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)とは、マーケティング活動を自動化・効率化し、見込み客を育成するツールのことです。

 

新規見込み顧客の獲得から育成まで、営業が実際にアプローチすべき見込み顧客の抽出というマーケティング活動を自動化・効率化することで、営業やマーケティング部門の生産性向上につなげることができます

 

見込み顧客の状況をデータ化し、適切なタイミングでメッセージを発信することで、商品やサービスに対する興味や関心の獲得につなげます。

CRMとの違い

CRM・SFA・MAツールの違いを、ある企業がこの3つのツールを使い分けていると想定して簡単に説明します。

 

 

  1. MAツールで見込み顧客を獲得(自社製品への興味を持ってもらう)
  2. SFAツールで見込み顧客を顧客に変える(自社製品を買ってもらう)
  3. CRMツールで顧客との良好な関係を維持(顧客情報の管理)

 

 

このように、MAは効率的なマーケティング活動を支援するためのツールであり、見込み顧客を商談まで持っていくことが主な役割です。

SFAは営業活動を支援するためのツールであり、一元管理された顧客情報をもとに、実際の営業活動をアシストする役割を果たします。

CRMは主に既存顧客の情報管理をするツールであり、顧客の名前や企業、年齢・性別などあらゆる情報を一元化し、それぞれに適切なサービスを提供します。

 

どのツールも、企業の売上や利益を向上させるために導入されることが多いですが、CRMは自社と顧客の関係をより深く管理しながら、その関係を長期的に深めていくツールと言えます。

 

CRMの主な機能

CRMの一般的な機能をここでは7つ紹介します。

顧客情報管理

顧客基本情報(氏名・年齢・性別・電話番号・住所・メールアドレス)やメール・電話でのクレーム対応履歴、購買履歴・購買実績といったコンタクト情報を管理できます。

顧客データに属性を与えてグループ分けすることも簡単です。

手作業でデータを収集・整理する必要がなくなるため、顧客数が増えるほど業務効率化の成果が大きくなります。

顧客分析

CRMツールでは、細かな顧客情報をもとに多角的な分析ができ、PDCAサイクルを通してマーケティングの精度を上げていくことができます

最近ではAI機能で高度な顧客分析が行えるツールもでてきています。既存顧客を維持するためには、顧客分析は必須です。

CRMツールが顧客分析をしてくれることによって、業務の時間短縮にもなり、またグラフや表で可視化してくれる機能もついているため、顧客への適切なアプローチを実現できます。

プロモーション管理

購買金額や購買頻度、直近の購買日など、さまざまな条件で顧客を選定できます

それによって、条件に合うターゲットにメルマガ・DMを配信したり、優良顧客にはクーポンなどを送ることができます。

問い合わせ管理

多くのCRMツールには、問い合わせ管理機能が備わっています。

各個人からの問い合わせ内容や履歴を可視化することができ、問い合わせ漏れや二重対応を防ぐことができます

問い合わせ履歴を集計してよくある問い合わせやF&Qを作成することも可能です。

製品によっては問い合わせフォームの作成なども行えます。

お客様からのお問い合わせは、顧客が製品やサービスに高い関心を持っていることを表しています。

CRMによって問い合わせのサポート品質を高めることで、顧客満足や優良顧客の育成にもつながるでしょう。

メール配信

CRMでは、既存顧客へのアプローチ方法として、メール配信が人気を占めています。

顧客をグループ分けして、それぞれのグループにメールマガジンを一括配信したり、新製品の情報などを自動配信したりする機能があります。

このおかげでマーケティング担当者の負担を大幅に減らすことができます

顧客の購買フェーズに応じて配信内容を切り替えることも可能です。

また、メールの開封率も確認することができ、メール配信を行うのに適切な時間帯・対象者・件名・文章などを比較検証できます。

アンケート実施

アンケートを作成し、顧客の声を直接集約・分析し顧客情報を選定することができます。

これによってターゲットの絞り込みができ、セグメントされたターゲティングリストを作ることができます。

ファイル共有

メールに添付されたデータを関係者で共有ができます。

CRMツール内のみで共有するので、情報漏洩などの防止につながります

CRMの必要性

多くの企業で導入が行われているCRM。

なぜ今、CRMは必要とされているのでしょうか。

ここでは、その理由を詳しく解説します。

日本における消費者行動の変化

いまや多くの人々がスマートフォンやPCを所持しています。

これは紛れもなくIT技術の発達が進んでいるからでしょう。

これにより消費者が多様な情報に触れるようになり、従来よりも選択肢が増えたことで、嗜好も多様化しているというのが現代の状況です。

自社の商品が、だれに・なぜ求められているかを的確に把握し分析しなくては、商品はなかなか売れません。

消費者一人ひとりのニーズを的確に捉えて顧客を獲得するためにも、顧客分析できるCRMが求められています

効率化とコスト削減

先ほども述べましたが、企業が大きくなればなるほど顧客管理は難しくなります。

顧客情報を手入力して、分析をすべてエクセルで行ってしまうと、それだけで莫大な時間を浪費してしまいます。また、人の手で行う管理はどうしてもミスや手違いが発生します。

これらは効率が悪い・人件費が掛かる・対応漏れなどマイナス面が目立ち、結果として企業の損失が増えていくことになるのです。

マーケティング担当者に顧客対応を効率化させるためにも、CRMは欠かせない存在です。

インサイドセールスの台頭

インサイドセールスとは非対面のコミュニケーションを軸に、成約につながりそうな見込み顧客を選定して徐々にアプローチをしていく営業手法です。

見込み顧客を見極めることで営業活動を効率化し、売上向上へとつなげるのが特徴です。

こうしたインサイドセールスの台頭によって、多くの企業が営業活動にITツールを取り入れるようになりました。

CRMツールでは、顧客に属性をつけて整理したり、顧客との関係を戦略的に構築したり、営業部門の連帯を強めたりする効果が期待できます。

インサイドセールスにも活用できるので、CRMは今とても便利なツールです

インサイドセールスに関しては以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

CRMを導入するメリット・デメリット

CRMを導入するメリット

CRMの必要性については先ほど述べましたが、では実際にCRMを導入するにはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

<顧客情報を一元管理・共有できる>

 

顧客情報を一元管理・リアルタイムに共有できる点がCRMの大きなメリットの一つです。

 

これまでは顧客情報を一部の担当者しか把握できておらず、対応状況を一元的に管理できていない企業も多くありました。

ですが、CRMを使うことによって多くの担当者が顧客情報を招集し、オンラインで一括管理し、リアルタイムで共有することができます。

また、顧客ごとの情報をひと目で把握でき、それぞれ違った担当者が同じ情報を元に行動できるため、担当者による対応の食い違いが防止できます

 

紙で顧客情報を管理するのは、チーム内で共有するのに不便ですし、顧客一人一人の情報を手作業で招集するのは、だいぶ手間がかかります。

顧客情報の取り扱いに多くの時間をかけてしまっては、顧客のアプローチに専念できず、効率が悪いため、CRMツールの利用は非常に有効です。

<業務の効率化>

 

CRMは業務の効率化にも役立ちます。CRMツールの性能を利用することで、表ソフトや他ツールを利用したり、手作業による作業が省略化できます。

また、顧客との商談日程をCRMが自動調整してくれることで、何度もメールや電話で日程調整をこちらから行う必要がなくなります。

その分、他の活動に時間を使えるようになり、業務が全体的に効率よく行えます

<顧客満足の向上>

 

CRMを取り入れると、既存顧客の傾向を把握しやすくなり、顧客満足度の向上につながります

担当者が顧客情報をどんどん蓄積することで、システム上で顧客情報が見える化されます。

顧客の嗜好・ニーズに合致した製品を提供できるようになることで信頼度が高まり、優良顧客を増やすことにもつながります。

<PDCAサイクルを加速させる>

 

CRMを導入することでPDCAサイクルを実施しやすいです。

PDCAとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を合わせたもので、業務の効率化を目指す手法のひとつです。

CRMに蓄積された顧客情報や履歴などを分析することで、顧客へのアプローチの仕方を測定してフィードバックを得ることができ、営業活動の過程の改善につなげていくことができます

 

CRMを導入するデメリット

CRMツールを有効的に活用していくために、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

<運用や導入コストがかかる>

 

CRMシステムを導入する際にかかるコストや手間の存在は、導入に踏み切れない原因の一つです。

多くの場合、社内にCRMのメリットが浸透していないことが、コストや手間を負担に感じさせてしまっていることが多いです。

導入コストや手間を考慮しても、導入したほうが会社の利益向上にも効果があるということを社内に共有していくことが大切です。

 

<すぐには効果を実感できない>

 

CRMを導入したからといってすぐに利益や売上に現れるわけではありません。

導入後にCRMをしっかり運用し、PDCAサイクルを回していくことで、はじめて効果が現れます。

地道に効果がでるまで使い続けることができるかどうかが重要です

<社内体制の見直しが必要になってくる>

 

CRMシステムを導入したとしても、それによって変化する業務の流れがしっかりと社内で共有されていないと、CRMシステムは上手く機能しません。

システムを運用するためのマニュアルを作成して社内教育を行ったり、顧客情報を一元管理する体制を整えるなど、CRMを運用するには社内の体制を変えていかなければなりません

自社にはどのような機能が必要なのかもよく考え、適したシステムを導入する必要があるでしょう。

CRMツールの選び方

これまでの内容を読んで、CRMツールを取り入れたいと考えた方も、何を基準にしてどのようにツールを選べばいいか悩まれるはずです。

最も大切なのは自社のニーズに合ったツールを選ぶことです。

ここでは自社に合うツールを選択する際の4つのポイントを解説します。

1.機能性や使いやすさ

CRMツールを導入する際に失敗しやすいのが、「機能性」「使いやすさ」です。

 

まず第一に使い勝手がとても重要になってきます。実際にCRMが使いにくいと、上手く使いこなすことができず、コストをかけて導入したツールが無駄になってしまいます。

 

また、機能性もツールを選ぶ上で大切です。

自社に必要な機能が、導入しようとしているツールにはしっかり備わっているか・自社で使っているツールやシステムと連携できるかを確認してからCRMツールを導入することです。

 

しかし、実際に使ってみないと機能性や使いやすさは判断できないかもしれません。

CRMツールはデモ版を無料で試せるものも多々あるので、試してみることをおすすめします。

 

2.サポートやフォロー体制

導入サポートが充実しているかを確認することも大切です。

 

CRM導入時は業者を通しますが、中にはサポートがなく、適当なところもあります。

導入した後もアップデートを行ってくれるのか、自社のネットワークに適した設定にしてくれるかなど、サポート体制があればCRMをスムーズに活用することができます。

 

サポートは業者にも違いがあるので、よく調べて自社が求めている内容と合致しているかをよく見極めましょう。

システムが定着するまでの手助けとして、電話やチャットでコミュニケーションを図ることができるようなサポート体制があると安心です。

 

3.セキュリティ面

CRMは多くの顧客の大事な個人情報を扱う為、高いセキュリティを持っているかも重要になってきます。

 

外部からの不正アクセスによって顧客の個人情報が盗まれる可能性があるので、具体的な対応策などがしっかり備わっているかが大切です。

しかし実際のところ、高いセキュリティを持っているかを判断するのは難しいです。

WEBサイトが過去のトラブルや不正アクセスなどの情報を開示しているかどうか、それについての対処方法をしっかりと説明してくれるかを目安にするとよいでしょう。

 

4.他のツールと連携がとれるか

CRMツールは顧客情報を管理・分析するだけでなく、他のツールとも連携することができます。

CRMを導入して効率化しようと思っても、連帯ツールの有無でまったく効率化につながらないということもあります。

自社に導入されているITツールとどれだけ連携できるか、または将来的にそのツールを連携する予定があるかなどもしっかりと確認しておきましょう。

CRMツールの運用のコツ

CRMをうまく活用すれば、効率的な作業を行うことができ、企業の売上向上にもつながるでしょう。

しかし、現に成果を上げることができるかどうかは、CRMをどのように運用するかにかかっています。

ここではCRMをどのように活用すればいいのか、そのコツを解説します。

目標を明確にする

まずなぜCRMを導入するのかを明確にして、具体的な目標を立てましょう。

一番よくないのは、CRMの導入自体が目的になってしまい、本来の目的を見失ってしまうことです。

目的は明確で分かりやすく、すべてのメンバーが理解できるものであるべきです。

CRMを取り入れてどのような成果を上げたいか、具体的な数値を用いて表しましょう。

戦略を構築する

目標が決まったら次は、その目標をどうやって達成するかという戦略を考えなければなりません。

自社が提供している製品・サービスの強みや弱み、既存顧客の印象など、これらの情報からどのような価値を作り出せるのか、戦略を立てます。

評価指標を定める

誰にでも見て取れる形で効果を測定しなければ、CRMを活用して成果が出ているかは分かりません。

CRMを活用したことで営業活動が効率化され、売上や利益につながっているかは、日々蓄積された多くの情報をみて判断できます。

これまでの情報を数値化したり、グラフや表にして表してみると、成果が目に見えて分かってきます。

そのための判断基準として、評価指標や見るべきポイントを明確に定める必要があります。

情報をもとに顧客とのコミュニケーションの見直しを考える

CRMツールを活用していくことで、多くの顧客情報がデータとして管理されます。

それらの顧客情報を分析して、既存顧客のニーズにマッチした製品やサービスを還元することで、顧客満足度を上げ、優良顧客を作っていくことができます。

また、それらは自社と顧客のコミュニケーションの記録でもあります。

一人ひとりのニーズにあったサービスを提供するために、分析から得た顧客とのコミュニケーションの図り方を見直すとよいでしょう。

まとめ

CRMについてご理解いただけましたでしょうか。

 

顧客を重要視する現代社会のマーケティングにおいて、CRMはとても重要なツールなのは間違いないでしょう。顧客との関係を再構築し、売上につなげるだけでなく、社内の業務効率化にもつながる可能性があります。

 

新しいツールやシステムを導入する際は、もちろん使い慣れるまでに時間がかかりますし、社内体制も大きく変わりますので、最初は仕事がやりにくいと感じることがあるかもしれません。

 

CRMを導入した際は、長い目で成果が現れることを頭に入れておくことが重要です。地道にPDCAサイクルを回していくことで、売上や利益につながっていくことでしょう。

 

 

             
ADACHI

writer

ADACHI

WEB CIRCLE MEDIAの編集者安達です。主にマーケティング関連の記事を投稿しています。

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